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感想:親愛なるタナトス 第四巻 毀損(CV:河村眞人)

カナリアレコード河村眞人,親愛なるタナトス

約 6 分で読めます。

タナトスは終わっていなかった。シリーズ購入してるので4巻も買いました。
1~3巻のライターさんとは別の方になりましたが……どうでしょう?
4巻の彼はお医者さん。「毀損」って何を毀損する気!?
……それだけで危険な香りがプンプンしますね。

河村さんの声は元々好きだし、キャラクターもけっこう好きになれました。
基本的に「君だけだ」ってキャラは好きなので……まともに恋愛したかったね。
こんな人とは無理ですけど。
手段はお医者さんらしくアレです。【アナタ】の具合が悪くなったのも……予想通りでした。
途中、予想していなかった演出が入って、少し怖かったです。
より没頭するためにベッドの上で聴けばよかったと少し後悔しました……。
今から聴く方はぜひそういう聴き方をして欲しいです。
でも、後に……未消化な部分が。
特に納得するような理由も説明されなかったので個人的には要らなかったと思います。

親愛なるタナトス 第四巻 毀損(CV:河村眞人)

若槻慶人について

「あなたの病気は私が必ず治してみせます」

トラック2:「不安と希望」

「ああ…そうだ。君が僕から離れていこうとしたから」

トラック5:「混濁」

「どんな患者も受け入れる」という両親の遺志を継く24時間救急病院の若き院長。
実は養子。愛情は注がれず、後継ぎが欲しかった夫婦にただ飼育されていた。
信頼のおける「友達」を使って両親と何人もの患者を手にかけた。グレアム・ヤングがモデル?

  • 一人称:「僕」
  • 二人称:「君」

感想

初診

【アナタ】は別の病院で診てもらったものの三週間咳が止まらず、訪れた病院で出会います。
……来なきゃよかったのにね!
【アナタ】からおくすり手帳を受け取り、処方を確認して一言。

「へえ…こんな薬をねえ…」

トラック1:「初診」

最初から怖い。何をする気!?いわく薬にも相性があって、治らないのは薬との相性が悪いからだそうです。
【アナタ】をいたわるようなもっともらしいこと言ってるけど、絶対盛るじゃん、この人!
あとは聴診器でちょっと診てくれて、若槻先生の診断は「ストレス性気管支炎」。
先に処方されていた薬はもう飲まずに新しく処方した薬を飲むように、と言われます。
薬を飲んでも咳が収まらず不安だった【アナタ】は頼もしく優しい言葉をかけてくれる先生を信用したようです。
診断が終わり、先生が出ていくとサイレンの音が……。

不安と希望

一週間後。未だ体調不良が続く【アナタ】。咳は収まったものの、今度は吐き気が現れたようです。……。
診察室に入ってきた先生は見るからに体調が悪そうな【アナタ】に駆け寄ってきて、質問をします。
先生が思い当たる症状を上げて確認すると、どうやら【アナタ】は「とある難病」かもしれず、治療のため長期入院が必要だそうです。……絶対、何か盛られてるわ。
現時点では疑いなので、改めて詳しく調べるために検査をすることになるんですが、やはりその難病だと確定。
不安に思う【アナタ】を力強く励ましてくれて、病室は診察室の隣の個室にしようと提案。
【アナタ】はこんな状況でも仕事の心配や身の回りの人にどう伝えるかを心配していて、それを伝えると先生が上手いことやってくれると約束してくれます。
診断書も適当な病名に書き換えてくれるんだってさ。
この対応でまともな先生じゃないですけど、【アナタ】は疑いもせずありがたく好意として受け入れます。

止まり木

入院生活が始まり【アナタ】の体調は一進一退。前日夜は点滴だったそうです。今朝は安定している様子。
病室で過ごすのはヒマだろうから、ということで先生から何か本を持ってくると話してくれます。
【アナタ】は風景などの写真が好きで、先生の方も写真は好きと言うことで好きな写真集を持って来てくれるそうです。
先生は薬草と結晶の写真が好きなんですって。……それって毒があるやつですか?
「快方に向かってる」ってセリフがあったんですけど「快方」って大正と同じイントネーションだと思うんだけど、大将のイントネーションだったので違和感ありました。
朝ご飯を食べるのに手のマヒが残る【アナタ】は上手く食べられず、先生があーんしてくれます。
こういう部分は普通にイチャつく男女なのに!

アガペー

三日後。約束通り、写真集を持って来てくれた先生。先生おすすめの写真集(たぶん鉱物)を見ながら「タンバン」の説明を受けます。「池に放り込むと藻類を全滅させるほどの毒性がある」って説明を受けたんですけど気になって検索かけたら、そのままの文章が出てきてなんか複雑な気持ちになっちゃったから調べるなら結晶の画像だけ検索するといいんじゃないでしょうか!!
【アナタ】もタンバンについて好意的な反応を見せたようで先生はそれにいたく感激している様子。
毒だろうと写真を見れば綺麗だと思うし私の感覚だと普通の反応だと思うんだけど、先生としてはそれほどまでに否定され続けた人生だったってことなんですかね?
このやり取りをきっかけに、先生が【アナタ】に対して気持ちを打ち明け恋人同士になるんですけど、【アナタ】が早くここから出たいと言うと先生は

「大丈夫。ずっと、一緒にいられるよ」

トラック4:「アガペー」

……先生が言っている「ずっと一緒」の意味はここから出る意味は含んでないんだろうなー。

混濁

一転、【アナタ】が危篤に。先生としてはここまでになる予定ではなかったようで、言うには「友達」が少し機嫌を少し損ねただけ、らしいんですけど……なんの前振りもなく出てくる「友達」に違和感。
まあ、何のことを言ってるのかは察しはつくんですけど、個人的には「友達」って表現はイマイチしっくりこなかったですね。
孤独だった先生にとって拠り所にはなっていたんでしょうけど「友達」と言われるとニュアンスが違うような?
先生の異常性を印象付けるための「友達」って表現なのかな…と思いました。
印象は弱くなるけど、個人的には「お守り」の方がしっくりきます。
ここではトラックタイトル通りに【アナタ】は意識混濁なんですけど、そういう演出が入りますので部屋を暗くしてできればベッドの上でお楽しみください。

テラリウム

危篤状態から持ち直した【アナタ】は先生の秘密に気づいてしまい、様子を見に来た先生の診療を拒否して疑いをぶつけます。

「何を言っているの?」

トラック6:「テラリウム」

なかったことにするのも怖いけど、追及した方が怖くないかな……。
【アナタ】によると急患が受け入れから1週間で亡くなったことを不審に思っているらしい。
先生によると来た時点で対処しようがなかったらしいんですが、【アナタ】はそういうことが4回あったと。
実はトラック1から4までにそれぞれのトラックで1回ずつ、計4回サイレンの音が聴こえるんですよね。それのことだと思います。
トラック1は初診のときなので、なんでそのとき搬送された人の最期を知ってるのかな、って少し不思議ですけど……。

悪辣なイデア

やっぱり【アナタ】が「ここを出たい」と言ったことが大きいみたいです。
【アナタ】に「友達」を分けたのは、ここに留めるため。必要とされたい願望が強い人なのかな、と思います。
逆に「いらない」と言われることにトラウマがあるみたいです。
小学生の頃にいじめっ子に対して使ったのが最初。
引き取られた先が病院だったから薬品類は手に入りやすかったってことですね。
歪んだ幼少期を過ごしながらも、おかげで自分の思い通りに人生が動き始めたからなのか「神に選ばれた人間」と自分のことを表現してました。
【アナタ】は「選ばれたプリンセス」なんですって。
自信があるのかないのか……ここまでの印象とは少し違いました。
全てを暴露した結果、【アナタ】は病室から逃げ出そうとするんですが逃げ切れるはずもなく捕まって、逃げ出した罰を受けます。
で、なぜか感覚を敏感にする薬を飲まされるんですけど、これを作った経緯がわからないのでモヤモヤしました。
キメセク展開は何か趣旨が違うような気がするんだけども……。
孤独な人なのはわかるので、ちょっとかわいそう…とか思っちゃうんだけどさ、盛られたくはないよね。
1~3までは不健康体にされるようなことはなかったから、少しはマシだったのかな……。
出て行くのやめるから、健康体でいさせて欲しい。

影身に沿う

【アナタ】は笑わなくなり、窓を開けることすら許されない病室に閉じ込められたまま。
彼もあまり幸せそうに見えない。当たり前だけど誰も救われねえ。
……タナトス4作の中でこれがいちばん救いがないような気がしました。

フリートーク

明るく楽しく余韻をブレイク!!
うっかり、河村さんが出演するカナリアレコードさんの他のCDのネタバレを聞いてしまった。
聴く予定があったわけではなかったけど、なんで結末部分(たぶん)を言っちゃうんだよ……!

ステラ特典「懸想の淵」

ただの恋人同士のような関係になっています。あいかわらず病室なんですけどね。
そこで「一度、君を失っている」ってセリフがあるんですけど、もう生きてない【アナタ】を相手にしてるかと思った!!
あらすじによると【アナタ】は記憶障害を起こしているそうなので、本来の記憶をなくしてしまったから僕が好きになった君じゃないって意味かな?
でも、どの程度記憶をなくしたかわからないけど彼が何をしたかわからない状態ってことは彼に対しての恐怖や軽蔑がないただの恋人なわけで彼が望んだ【アナタ】の姿ではないんでしょうか?
人格までも変わってしまったということか?
ここにも救いはありませんでした。誰も幸せにならない。

暗い部屋でお楽しみください。

やっぱり印象的だったのは意識が混濁する【アナタ】の様子の部分ですね。
単純に彼の声が遠くから聴こえるってだけじゃない演出で少し恐怖感も味わえたし、感心しました。
音声が乱れる表現としては新しくはないですけど、意識混濁を疑似体験したような気分?
タナトスを聴こうとする方は少なからず怖いのが平気な方だと思うので部屋を暗くしてベッドの上でお聴きください!!現実じゃないから大丈夫!!

 

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