感想:farthest garden(CV:たなかこころ)
約 5 分で読めます。
初めてDL作品買いました。全年齢作品です!!
時間は約80分の長編でしたが余計なエピソードもご都合主義と感じられるところもなく最後まで聴けました。
ほのぼのするようなやり取りはありますがシリアスな純愛ストーリーです。
SF作品はわかりにくさが心配だったんですが現実味もあり受け入れやすい設定でした。
そう…
私はSFが苦手です!!
なぜなら特殊な技術とか用語とか覚えることが多いからだよ!!
特に音声作品は考えながら聴きたくないので複雑だと話を追っていられなくて嫌になっちゃうんですよ。
でも複雑でわけわからん用語はなく私にもついていけました。
作中の用語は「farthest garden」作品ページに載っており購入前にわかるようになっていたのもSF苦手人間には安心。
ただ購入したDLファイルの中に作中用語の説明ファイルがついてなかった。
作品ページと同じものでいいので私はDLファイルに含めた方がいいと思いました。
あとキャラクターイラストがあるとよりいいなー(あるはあります。こっそりと)
結末は想像通りではあったんですけどナギの境遇を考えると一点の曇りもない明るいハッピーエンドではないです。
ナギは相手のことを考えすぎるタイプだと感じたのでヒロインが捨ててしまったもののことを考えてこれからも苦しむような気がします。
そういう意味で私には鬱エンドでもありました。
この記事はたなかこころさん出演のシチュエーションCD「farthest garden」の感想記事です。

トラックリスト
- 雪解の季節
- 地球の記憶
- 慈島の櫂
- 硝子の墓標
- 千年の距離、二十光年の時間
- 君影の季節 -farthest garden, closest eden-
登場キャラクターについて
- 名前:ナギ
- 自分を「僕」ヒロインを「君」と呼ぶ。
- 自己肯定感が低そう。月生まれの地球オタク。
「farthest garden」感想
本編
ナギが管理者として働く「イツクシマ(慈島)」は地球型惑星「グリーゼ」への入植を目指し航行中の宇宙船。
ヒロインはグリーゼへの「入植者」として冷凍睡眠状態でイツクシマに乗っていますが手違いで目覚めさせられてしまいます。
しかし身体の負担に負担がかかるため規則で1か月間は冷凍睡眠状態に入ることができません。
再び眠りにつくまでの1ヶ月をナギと過ごし交流を深めていく純愛ストーリーです。
全体的にシリアスな雰囲気ですがほのぼのするようなシーンもありました。
話も途中でだれることなくテンポも良かったです。
しいていうならナギの部屋でお茶を飲んでいる場面が少し唐突だったかな。
これから部屋に向かうという場面から切り替わった直後、ナギが委縮したような様子でヒロインに弁解し始めたときにはトラックが飛んだかと一瞬思いました。
たぶん憧れの地球の話でついヒートアップしちゃったナギに対してヒロインが何か言ったからなんでしょうけどナギが興奮気味に話しているところから始まった方がわかりやすかったですね。
他はこれといった不満や違和感はなく楽しむことができました。
ナギのキャラクターがよかったです。
ひねくれてはいないけど希望に満ちてキラキラしてるタイプじゃないです。
自分の運命を受け入れているというか諦めているような。
何もかもを「信じる!!」で片付ける男より私は信用できますし共感もできました。
それと不慣れ感が好き。ヒロインに対する気遣いが少しズレてるところが可愛かったです。
具体的に好きだったところをあげると眠りから目覚めた直後のヒロインが初めて身体を起こすシーンですね。
ナギが支えてくれるんですけど「肩に触らせてもらう」って声かけてくれるんですよ。
気遣い……!!私はとても好きでした。
やはりキャラを好きになれるかどうかは重要です。好きになれて楽しめました。
どこか闇を抱えたナギとは逆にヒロインは希望に満ちたキラキラタイプかなー。
希望を抱いて入植者になったんだろうしね。でも主張は強くなくてよかったです。
シチュエーションCDのヒロインは存在感薄いくらいが私にはちょうどいい。
2人が惹かれていく過程にキッカケとなる特別なエピソードはなかったんですけどナギが過ごしてきた孤独な環境では「同じ立場で話ができる相手」というだけで十分に説得力がありました。
管理者という仕事での立場もだけど生まれた家の事情も含めてナギは孤独だったような気がするんですよね……。
だからヒロインに頼られて必要とされてあっという間に惹かれちゃったんじゃないかと思います。
ナギのようなクルーたちはイツクシマの中で一生を終えるんですが亡くなった後の遺体の処理については感心しました。
「クルーは個人の墓を持たない。死んだら肉体は原子にまで分解されてイツクシマのために役立てられる」
トラック4:「硝子の墓標」
ナントカ機関の特殊技術でナンタラエネルギーになるわけじゃないのね。
新しい何かを作り出す技術より確実に存在するものに分解する技術の方が私は受け入れやすかったし既にありそうな気すらしました。
イツクシマの一部に形を変えてヒロインを見守り続ける。
魂なんてはっきり存在がわからないものではなく実際に存在するものとして物理的に。
……なんだかとてもピュアでロマンチックな気がしてきます。
ヒロインはそんなの嫌だって言いますけどね。そりゃそうだ。
ナギは別れの前、ヒロインに対して気持ちを伝えるものの「そばにいてほしい」とは言わないんですけどヒロインに対してナギが自分の想いを伝える場面は切なくてちょっと泣いた。
ナギの置かれた状況を考えたら簡単に「なんでそばにいてほしいって言わないんだ!!」とも思えず……。
自分はヒロインに対して「何もできることがない」「自分は何も持っていない」と自覚してたら言えないよな。
つらい。でもこういうつらい話は好き…。でもつらい。
終盤再び眠りにつくはずのヒロインが逃げ出し、2人の関係は上層部の知るところとなります。
非常に物分かりが良い方々でして「立場が違うのだからやめなさい」とは決して言わないんですよ。
ナギにとっては反対された方が上層部のせいにできて楽だったんじゃないかなー……。
通常は「ダメ!!」って言いそうなもんですけどね。理解ありすぎて困るわ。
ラストシーンでは穏やかな時間を過ごしているだろう2人。
ヒロインは眠らずナギの傍にいることを選びます。
ナギは……心の底から「これでよかった」「僕が彼女を幸せにできた」と思えるようになってるのかな。
私にはあまり幸せそうに聴こえなかったですね。
「幸せ!怖いものはない!!」って声には聞こえなかったんですよねー。
幸せなんだろうけどまだ吹っ切れてないというか自問自答してそうなんだよな~……。
一生自問自答し続けそうな懸念があります。
ナギはもっと自分のことだけ考えていいんだよ!!
あとがき
2人の想いが通じ合ったという点ではハッピーエンドに違いない。
しかし……ナギはずっと喜びと苦しみの中に居続ける気がする。
ヒロインとしては自分の意思で決めて自分で選んだから未練はないんだろうけどね。
ナギは自分には何一つ与えられないものをヒロインに捨てさせたと思い続けて気に病みそうで「幸せでよかったね!!」と手放しに祝福できないんだよな。
ナギは幸せなのか。
ヒロインが再び眠ってしまった方がヒロインが遠い未来幸せになることを祈りながらナギは心穏やかに過ごせたんじゃないか。
そう考えると私はちょっと鬱。
やるせないような余韻が残りました。嫌いではない。でも少しつらい。